eins
ふと、目が覚める。
午前6時14分。
部屋はいつも通り明るい。
明月ゼルクは寝る時あまり電気を消さないタイプのヒトである。
iPhoneを片手に眠ってしまっていたようだ。
「ああ、またやってしまったな…」
そう呟きながらパソコンへ目をやる。
「Twitterの通知チェックしないとな」
左手で頬杖をつきながら右手のマウスでTwitterを見ていく。
「通知は……特に大したこと呟いてないしな」
まぁこんなもんだろうと見終えた後に「あ、メープルの配信最後まで見れてなかったな…」と思い出す。iPhoneはColon:の画面を開いたまたった。
ゼルクが彼女の配信を見に行く理由はある。
バーチャルゲーマーユニットRev.を箱推ししているからという理由もある。
ラフに絡んでくる相手だからという理由もある。
が、一番の理由は何となく気に入ってるからという理由である。ゼルク自身も気に入ってる理由は深く考えてはいない。
「飛行機何時だったっけ…準備しないと」
洗面台へ向かう。
いつも通り寝癖がひどい。
髪が長い分セッティングに時間がかかるのがよだきぃと思うところである。
故に、テキトーに済ます。
大方の準備が終えたところでプレステ4のコントローラーを手に取った。
先日発売されたスパロボTを進めるためである。
配信することができないので空いてる時間で進めるようにしている。
なんとか1話だけ進めることが出来た。
キリよく終えたあと、再度パソコンに目をやった。
「そういえば見てない動画があったな」
こうして時間は過ぎていく。
「家を出なくては」
お気に入りのブレスレットを3つ着ける。ゼルクのいつものスタイルである。
外出用の黒いジャケットを身に纏い外へ出る。
もうすぐ4月になるというのに冬のような肌寒さを感じる。
「なんとかなるだろう」
楽観的思考で今日も征く。
そうしてゼルクは家を出た。